ミツカリ技術ブログ

株式会社ミツカリの開発チームのブログです

PdMツールの比較 (Centou, Dovetail, Flyle, Productboard, etc)

こんにちは、ミツカリCTOの塚本こと、つかびー(@tsukaby0) です。

私はCTOですが、スクラムにおいてはプロダクトオーナーの役割を担っており、同時に製品開発全般においてはプロダクトマネージャー(以下PdM)の役割も担っています(現状はCPO不在のため私が担当しています)。

今回はPdM目線の記事です。各種ツールを比較したときの話をしようと思います(情報は2026年1月時点のものです)。

概要

  • 結論:Centouを採用
  • VOCやインタビューデータの活用を目的に、Productboard、Flyle、Jira Product Discovery、Dovetail、Centouの5つのPdMツールを比較検討
  • 最終候補のDovetailとCentouを2ヶ月併用した結果、VOCからインサイトを導出する体験と日本語サポートの充実度からCentouを選定

PdM

プロダクトマネージャーとは何なのか、その役割についてはすでに解説されている記事が多いため、そちらに任せます。

mba.globis.ac.jp

企業が顧客に提供する製品やサービス、いわゆるプロダクトの開発と販売を総括する責任者です。PdMはプロダクトの企画、戦略策定、設計、開発、そして販売に至るまでの全過程を管理し、そのプロダクトをビジネスとして成功に導く役割を担います。

グロービス経営大学の記事ではこのように解説されています。

企画や開発をする際は市場や競合を調査したり、仮説を立てたり、ユーザーにインタビューをしたり・・・PdMの役割は非常に多岐にわたります。PdMはミニCEOとも呼ばれ、採用以外の事業成長、運営に関わるあらゆるタスクを担います。

PdMが扱う情報に対する課題

PdM業務を効率的に進めるためには、適切なツールの選定が必要です。本質としてはツールではなく、行動力であったりプロセスであったり別のところにあるとは思います。例えばデータがうまく整理されておらず属人化していたとしても、凄腕のPdMが圧倒的な顧客理解から素晴らしいプロダクトを生み出せていればそれでも良いと思います(創業初期はおそらくそう)。

ただ、人が増えるにつれて、PdMを移譲したり増やしたりする必要があります。それに応じて、情報整理やツールの必要性は増すと思います。顧客のペインやペルソナを把握したり、そこから戦略に連動したソリューションを考えたり、足並みを他者と揃える必要があるはずです。

当社の場合は、Google workspaceを契約していますので、基本的にはGoogle driveに各種ファイルが集約されています。

ここでいうファイルとは例えば

  • 市場と競合の調査資料
  • ペルソナ
  • カスタマージャーニーマップ
  • 製品ロードマップ
  • ユーザーインタビュー
  • VOC(顧客の声)

など様々です。これらがGoogle doc, Spreadsheet, Slide, mp4など色々なファイルで存在します。

近年ではGoogleではなくNotionに情報を集約している企業も多いと思います。シェア的にはおそらくMicrosoft 365がTOPかと思います。

ファイルやデータを集約することは管理上良いことですが、当社ではこれらをうまく活用したりメンテナンスしきれていないという問題がありました。例えば過去のインタビューデータはその時の企画のための一時的な判断情報だけに留まっており、それをまとめて今後の別の企画に活用する、ということはできていませんでした。

我々PdMはプロダクトおよび事業を成功させる(顧客の課題を解決する)という大きな責任を担っています。そのためにはやらないことを決めて、効果と確度が大きい施策や、確度は低くても事業戦略上必要な挑戦に時間を費やしていくべきです。

何をやらないべきか、優先度はどうなのか、どういう仮説と実験を定めて効果を素早く検証するのか、こういったことを判断するために情報が必要であり、それらが扱いやすくなっている必要があります。

PdMツールに期待すること

繰り返しになりますが、PdMとしては製品を成功に導きたいので、これからやるべき開発等の成功率を高めたいと考えます。

その判断や意思決定を支援し、成功率を上げるツールを今回探していました。大まかに期待することをまとめると以下のようになります。

  • Must
    • 顧客からのフィードバック(VOC)、インタビュー、問い合わせ、要望などを収集、一元管理する機能
    • それを各種SaaS等と連携して自動で取り込める機能
    • 収集したフィードバック等を適切にセグメント分けする機能
    • カスタムフィールドというような独自のメタ情報を付与できる機能
    • アイデア、ソリューションを起票、管理する機能
  • Should
    • 収集したフィードバック等を分析する機能
  • Won't
    • 綺麗な見栄えのロードマップを作成する機能
    • ロードマップを顧客に公開する機能
    • ロードマップのガントやカンバン表示機能
    • プロジェクト・タスク管理機能
    • プロジェクト・タスク管理ツールとの同期機能
    • RICEなどの優先順位のスコアリングを行う機能 (カスタムフィールドがあればいらない)
    • OKR機能
    • アナリティクス、BI機能、ABテスト機能
    • ユーザーポータル、ナレッジベースのような機能

例えばプロジェクト管理はJIRAやAsanaなどの専用のものを使った方がやりやすいでしょうし、アナリティクスについては無料のGA4や有料のAmplitude, Mixpanelが有名かつ多機能です。そちらを使えば良いです。ナレッジベースやユーザーポータルも同様で、他の特化製品があります。これらを統合できるメリットはあるかもしれませんが、今のところ当社にとっては不要です。

ロードマップについては公開したいと思うプロダクトチームはそれなりに多そうです。当社も顧客にはSpreadsheetで作ったものを公開することはありますが、綺麗な見た目だとか、より詳細な情報を共有したいというニーズは今のところありません(余力があれば力を入れたいとは思う)。

一番のニーズとしてはVOCやインタビューの内容をより活用し、ペルソナや仮説、アイデアなどの導出したデータを一元的に管理することでした。

各種ツールの調査・トライアル

一部のツールは数年前に調査したので最新の事情とは異なるかもしれません。

Productboard

引用: productboard.com - https://www.productboard.com/

Productboardはおそらく最も有名なPdMツールです。

必要な機能以外にも多数の機能を揃えていました。

以前トライアルしましたが、私としてはしっくり来ませんでした。

AIによってVOCを自動で分類を行うという機能がありますが、トライアル時点では日本語での分類精度に課題がありました。また、UIが日本語化されておらず、とっつきづらいイメージがありました。仮に全社的に展開した時も言語の影響はあるだろうなと思っていました。

VOCやインタビューを手動分類したり、アイデアと紐づけるというようなことは問題なかった記憶です。

料金についても少し気になっていました。当時の価格は覚えていませんが、2026年現在ではEssentialsが $19 maker/month で、Proが $59 maker/month です。

Essentialsプランでは 250 feedback notes という制限があります。これは確実には調査できていないですが、おそらくは月あたりではなく全データが250件しか保存できないという制限になっています。250件だとVOCやインタビューですぐに埋まってしまいますよね。つまり実質Proプラン(こちらはFeedback notesは無限)が必要です。

Proプランは最低2名分から契約、という点も気になります。ミニマムスタートはできるものの、まずは私の分だけ有料課金したいので少しもどかしいです。また全社的に展開することになった場合のコストも気になります。

覚えていないのですが、一部の機能はEnterpriseでしか提供されなかったり、AI機能は実行数に応じてAdd onとして追加の費用がかかる点もネックでした。

これらの理由からProductboardは選択肢から外しました。

Flyle

引用: flyle.io - https://flyle.io/jp

Flyleは日本製のVOC分析ツールです。

以前はPdMをターゲットとしていたような印象で、PdMツールという位置付けの印象でした。ただ、最近ではピボットしたようで、ターゲットをマーケティングやカスタマーサポートなど広く取っているようです。VOCやアンケートの分類、分析という方向に特化しているようですね。

AIによる分類や分析が特徴で、デモを見る限りその点はProductboardより大分品質が良さそうでした。

詳細な価格は公開されていないですが、私が問い合わせた時はミニマムプランでも後述するDovetailやCentouの数倍の価格でした。営業の方曰く、概ね1000件/月のVOCやFBがある場合はROI的にペイするようです。基本的にエンタープライズをターゲットにしているようなので、当社のような小規模スタートアップが利用するにはハードルが高いです。毎月大量にFBが届き、人手で分類・分析する手間がかかる場合には効果を発揮しそうです。

機能としてはVOCの分類だけでなく、アイデア管理やツール連携などもあり、全体的にProductboardより良い印象を持ちました。マイクロサーベイもSaaS運営者としては嬉しいです。

かなり可能性を感じますが、価格の問題によって選択肢から外しました。

Jira Product Discovery

引用: Jira Product Discovery - https://www.atlassian.com/ja/software/jira/product-discovery

Jiraはプロジェクト・タスク管理ツールという印象が強いですが、Jira Product Discovery(以下、JPD)はプロダクトマネジメントに寄ったツールになっています。Jiraなどとある程度連携ができるので既に開発チームがJiraを使っている場合は、導入の強いモチベーションになりそうです。

JPDは何と言っても安いです。フリーミアムモデルであるため、フリープランがあります。

3人までなら無料で利用でき、ミニマムに始めやすいです。

作成者以外の権限であれば(PdM以外の職種であれば)、何名でも追加できます。4人以上の場合でも1300円/月/人ほどで利用できるので他と比べて大幅に安いです。

機能も多いですが、データ構造や利用フローとしては当社のニーズにマッチしませんでした。

JPDではベースとなるデータはアイデアです。こういう機能があると良いのでは、というアイデア・仮説を用意して、それに対してインサイトを紐づけるという形になっています。当社としてはインタビューやVOCをベースのデータとして、そこからアイデアや仮説を導き出したいと考えていました。

ボトムアップかトップダウンかの違いなので人によってはJPDのやり方の方が合っていると考える人もいそうです。

※ここは今後の課題だと思っています。例えばですが、大口のロイヤルカスタマー3社から寄せられている同一の意見と、無料プランの顧客3社から寄せられている同一の意見ではおそらく前者の方が対応する価値は高いです。そのため、VOCをベースとしつつ単純カウントするよりも、アイデアをベースとして企画や分析を進める方が良いケースも考えられます。あるいは、VOCをベースにするとしてもVOCに重みをつけることを考えなければいけません。当社の従来の方法ではVOCとARRを紐づけていました。

話を戻しますが、価格や機能の豊富さは魅力的でしたが、データ構造に懸念があり、少しトライアルした後で選択肢から外しました。

見える化エンジン、commune voice、YOSHINA

今回はプロダクトマネジメントツールという広い括りでツールを探していましたが、VOC分析ツールやテキストマイニングツールというような括りではこのようなツールも存在します。

これらはFlyleに近い印象ですね。プロダクトマネジメントというよりはより広く、CSやコールセンター、マーケなどで使ってもらうような印象があります。

品質は高そうですし、可能性はかなりありそうですが、海外SaaSのようなフリーミアムかつテックタッチで簡単にトライアルできるようにはなっていません。

今回の私のニーズには少しマッチしない部分がありそうだったので、見送りました。

Dovetail

引用: Dovetail - https://dovetail.com/

Dovetailは海外製の製品で、AIを活用したカスタマーインテリジェンスプラットフォームです。要するにユーザーリサーチや、顧客インサイトに主眼を置いています。

こちらもフリーミアムモデルで、無料でも使えてトライアルがしやすいです。フリーでも他のメンバーを追加できますし、機能は制限されますが使えそうです。

JPDとは違って、こちらはまずVOCやインタビューデータを登録するところから始まります。そこからテキストデータの一部に対してハイライト(タグ付けのようなもの)を付けていき、そのハイライトデータからインサイトを得る、というようなことを行う想定のようです。

まだ、あまり日本では流行っていない印象で、検索しても日本語の記事はほとんどヒットしません。ただ、以下の記事がとても詳しく解説されているので参考になると思います。

note.com

何に対してハイライトを付けるべきかは使い方ややり方次第ですが、後述するCentouではファクトに対して付けることを推奨しています。つまり、インタビューやフィードバックで顧客が感じた・考えた事実情報をまず抜き出して、それをもとに仮説やアイデアを出すということをCentouでは推奨しています。これは良いやり方のように思えますので、Dovetailでもそのように使うのが良いと思います(実際にできます)。

良さそうなDovetailですが、欠点もあります。

AIとは言っているものの日本語に対する性能は良くないようでした。ある程度長いインタビューなどを与えて自動でHighlightを付けさせても1つも付かない、ということがありました。自分だったら10個は付けるな、ここはハイライト付けするポイントだな、と思ってもそこはハイライトされません。

AIにはシステムプロンプトを与える機能もありましたが、そういう工夫をしても精度は上がらなかったので、日本語の扱いはまだまだのようです(公式にはある程度対応を謳ってはいますが)。

Dovetailにはインタビュー等の情報を投稿するデータ構造・箱の他にChannelsというデータ・機能があります。これは後発の機能のようで、Flyle等に近いものです。大量のVOCというようなデータを登録して、それをAIによって自動で分類するというものです。これは日本語でもある程度対応しているようで、当社のデータでも正しく自動分類されました。

ただし、このChannelsには月あたり登録できるデータの上限という制約があります。最近以下のblogの通り料金改定がありました。

https://dovetail.com/blog/information-on-our-new-pricing-plans/

以前はProプランを購入すると 250データポイント/月 が自動で付いてきましたが、現在では付かないので、 500データポイント/$50/月 のアドオンを購入する必要があります。なお、データポイントとは一つのインタビューや一つのフィードバックと考えると良いです。CSVで言うと1行ですね。累積ではなく、毎月のはずです。なので、大抵の小規模のスタートアップでは 500データポイント/$50 で十分だと思います。

Proプランの方は1ユーザーあたり$15ですが、これは残念ながらJPDのような閲覧権限ユーザーのような機能はありません。つまりチーム全体に展開するならばその人数分だけProプランを購入する必要があり、その場合は少し割高になりそうな気はします。

また、Channelsの自動分類は良いのですが、当社の従来のやり方も分類は手動ですができていました。問題は分類した後でそれをどう活用するかであり、その点におけるツール活用・解決策を求めていたので、Channelsはただ分類しただけで止まってしまいそうな予感がしていました(※Channelsは使わずにもう1つの方のデータ・機能を活用すればいい話ではありますが)。

Centou

引用: Centou - https://centou.jp/

Centouはインサイトマネジメントツール(インサイトデータベースツール)です。コンセプトや方向性は違いがありそうですが、大まかにはVOC分析ツールと言っても良いと思います。

Centouでは顧客の声やインタビューなどを一元管理し、そこからファクトを抜き出し、ファクトからインサイトを考え、インサイトを仮説や企画などの製品開発に活かすということを推奨しているようです。これは今回私が求めていたニーズにマッチしています。

もちろん他社のツールでもできるとは思いますが、ファクトをうまくまとめてインサイトを出す体験や、GitHub Issuesのようなドキュメントを作成する機能(例えばペルソナを資料作成する機能)がある点が良かったです。Google workspaceでも頑張ればできると思いますが、Centouを使った方がデータを活かしやすいなと感じました。

他にも良い点はあります。

ミニマムのプランは 5万円/月 からで、試しやすいという点も良いです。ProductboardやDovetailのミニマムと比べると少し高いですが、登録できる利用ユーザーの数が多いので、小規模な組織であれば5万円のプランでもチーム全員で使うことができます。

国産SaaSなので、DovetailやProductboardと違って日本語でサポートを受けることができますし、CS担当の方とSlack connectで繋がることもできます。そのため、迅速に利用方法に関する質問ができます。また、プロダクトマネジメントツールという側面があり、PdMをターゲットにしている印象があります。Slack connectの参加者は契約企業によって違うかも知れませんが、Centouの創業者は開発者でもPdMでもあるので、プロダクトマネジメントに関する相談ができるという点も強みです。

実際にSlackで相談して、助言をいただけたり、各種ヘルプや資料を迅速に案内していただけました。一部、私の質問に対応するために新たにヘルプページを作っていただけた点も好印象でした。

また、以下のカミナシ 右田さんの資料なども共有いただき、使い方や進め方のイメージが湧いた点も良かったです。

speakerdeck.com

一方で欠点もあります。

例えばDovetailでは各種SaaSと自動連携したりCSVでデータを取り込む機能がありますが、Centouではそういう機能はありません。そのため手動でWeb GUIを操作してデータを入れる必要があります。過去データを大量に入れたいというようなケースではかなり時間がかかります。

また、CentouもAI機能を有しており、AIが自動でインタビュー内容等からファクトを抽出してくれますが、この精度はまだ甘いな、任せられないなという印象でした。ProductboardやDovetailよりはマシですが、人間が1インタビューから10個ファクトを出すとしたら3個くらいしか出してくれない感じでした。

結局どうしたか

最終的にDovetailとCentouを2ヶ月ほど併用し、Centouの方を本採用することにしました。

Notionを使うと言う方法もあると思いますし、実際にそれをメインのプロダクトマネジメントツールとしている企業は多いと思います。しかし当社ではすでに別のWikiシステムを使っていますし、そこからの乗り換えや、Notionをメンテし切れるのかと言う不安もありました。

少なくともNotionを選択する場合はそれなりに洗練されてデータ整理の工数も取れるプロダクトマネジメントチームが必要に思います。当社の場合は、おそらくNotionではデータの集約だけで精一杯でその先には進めないと思います。

Centouの方が総合的な体験として良いし、VOCやインタビューから機能開発のヒット率を高めるという本来やりたかったことができそう、またサポートも受けられそうなため、Centouを利用することにしました。

今回の記事では比較した時の所感や情報を広く記載しました。機会があればDovetailとCentouに絞った詳細な記事を執筆します。

DovetailやNotionも良いですが、みなさんCentouも検討してみてはいかがでしょうか。場合によってはFlyleやProductboardもフィットするケースはあると思うのでぜひご検討ください。

centou.jp


当社では今後はCentouを全社的に展開して、データドリブンな意思決定、顧客中心の価値提供を推進して行きたいと思っています。このような課題や環境作りに一緒に取り組んでくれる方を募集しています。

興味のある方はぜひお気軽にご連絡ください!

herp.careers